HappyScribeレビュー:日本語に対応、会議の録音は無制限。ただしアップロードした音声の文字起こしは月120分から数える料金
目次
HappyScribeの料金表を開くと、無料プランの欄に、噛み合わない二つの言葉が並んでいます。「会議の録音は無制限」と、「AIの文字起こしは10分のお試し」です。[1]
どちらも本当で、数えているものが違います。会議に入って録るほうは回数の制限がなく、すでにある録音ファイルをアップロードして文字にするほうは、月ごとの分数で使い切る形です。この違いを知らずに契約すると、「無料で無制限だと思ったのに、すぐ止まった」となりかねません。
ここでは2026年10月24日に確認した公式の情報だけを根拠に、日本語の会議で使えるかを整理します。実際の会議で精度を測った記事ではありません。
何をするサービスか
HappyScribeは、アイルランドの会社が運営する文字起こしのサービスです。文字起こし、字幕、翻訳を扱うサービスに、会議の自動記録(ノートテイカー)が加わった形です。トップページには、Zoom、Google Meet、Teamsの通話、対面の会議、音声や動画のファイルを、150以上の言語で扱えると書かれています。[2]
使い方は大きく3通りです。プライバシーポリシーにも、同じ3つの入口が書かれています。[6]
- すでにある音声や動画のファイルをアップロードする
- スマートフォンやブラウザで直接録音する
- 会議用のノートテイカーを会議に参加させる。会議のURLを貼る方法と、カレンダーをつないで予定に自動で入らせる方法がある
文字にしたあとは、要約とアクション項目(次にやること)、会議の内容に質問できる「AI Chat」、各種の書き出しが使えます。[2] ClaudeやChatGPTにつなぐ連携と、MCPサーバー(AIアシスタントから記録を呼び出す仕組み)も案内されています。[1][2]
ファイルを渡して文字だけ欲しい用途なら、TurboScribeのレビューと近い使い方です。会議に入って記録する用途もあるぶん、HappyScribeのほうが守備範囲は広くなっています。
日本語は、三つの機能のすべてで対応言語に入っています
対応言語のページには、日本語の行があります。表の列は、AIノートテイカー、AI文字起こし、AI字幕、人が仕上げる文字起こし、人が仕上げる字幕の5つで、日本語はそのすべてが「yes」です。[3]
日本語向けの専用ページでは、次のような説明が並んでいます。[4]
- 話されている言語を自動で見分ける。日本語と英語が切り替わる会議でも、それぞれの言語で文字にすると説明されている
- 参加者に自動でラベルを付け、日本語の要約とメールでの要約を送る
- 会議の中から、一時停止や再開、ノートテイカーの退室ができる
- 会議の招待がなくても、ブラウザから録音できる
英語だけの道具に日本語が後から足された、というより、日本語の会議を想定した説明が用意されています。ただ、日本語と英語が混ざる会議の精度を示す数字は、確認したページにありません。専門用語や社名が崩れたときは、辞書登録で直す考え方が参考になります。HappyScribeには、名前や用語を一度登録しておく「用語集(Glossary)」の機能があると書かれています。[1][2] 料金ページの比較表では、用語集は無料から1つ使え、BasicとProも1つ、Businessは無制限です。[1]
日本語に限った精度の数字は、1つだけです
精度の数字は公式のページに三つ出てきますが、日本語について言っているのは、日本語向けのページの1つだけです。
- 日本語向けのページ:「95%を超える精度」[4]
- 対応言語のページのFAQ(言語を限定しない):ノートテイカーは良い条件で最大約95%、機械の文字起こしは良い条件で最大約98%[3]
- トップページのFAQ(言語を限定しない):実際の複数人の会議で約90%[2]
下の2つは、日本語に限った数字ではありません。サービス全体についての「最大」値と、実際の会議での目安です。約90%から最大約98%まで幅がありますが、日本語でこの数字が出るとは限りません。違いは、条件の書き方にあります。「良い条件」なのか、「実際の複数人の会議」なのかで、同じサービスの数字が変わっています。
トップページには、言語ごとに他社と比べた精度のグラフもあります。ただし、載っているのは英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、オランダ語、イタリア語の6つで、日本語は入っていません。[2] 日本語の精度を、第三者が測った数字は見当たりませんでした。
録音の環境で結果は大きく変わります。数字を比べるより先に、文字起こしが荒いときに見直す録音の5条件を整えておくほうが効きます。
料金は4段階。分数の数え方に注意
料金ページのプランは、無料、Basic、Pro、Businessの4つで、別にEnterpriseの相談窓口があります。ドル建てです。[1]
- 無料(Free):会議の録音は回数無制限で、1回45分まで。アップロードした音声のAI文字起こし・字幕・翻訳は、10分のお試しだけ
- Basic:月払いで月17ドル、年払いなら月あたり8.50ドル。1回90分まで。AI文字起こしは月120分(年払いなら年1,440分)。席は1つ
- Pro:月払いで月29ドル、年払いなら月あたり19ドル。1回の長さは無制限。AI文字起こしは月600分(年7,200分)。席は3つ込み、追加の席は月29ドル(年払いなら19ドル)
- Business:月払いで月89ドル、年払いなら月あたり59ドル。AI文字起こしは月6,000分(年72,000分)。席は5つ込み
分数が足りなくなったら、1分あたり0.20ドルで追加できます。プランに含まれる分数は毎月リセットされ、繰り越せません。追加で買った分は、使い切るまで残ります。[1]
ここで効いてくるのが、冒頭の違いです。料金表の「AI minutes included」には「for uploaded files」、つまりアップロードしたファイル向け、と添えられています。[1] 会議に入って録る記録は回数無制限で、1回あたりの長さの上限だけが、プランごとに45分、90分、無制限と変わる形です。[1] 録音ファイルを後から大量に文字にしたい人は、Basicの月120分では足りません。120分は、1時間の会議2本ぶんです。
アップロードの上限の考え方は、Notta・Otter・Rimo・Firefliesのアップロード上限を並べた記事にもまとめています。
細かい点を二つ挙げます。
- 無料プランの書き出しは、料金表の比較では「TXT、SRT」です。[1] 一方、プランの紹介欄には「DOCX、TXT、SRT」と書かれていました。DOCXやPDFで出したいときは、登録の画面で確かめてください
- Proの紹介欄には「要約テンプレートの作成」とあるのに、比較表の同じ項目は「Soon(近日)」です。[1] 使えるかどうかは、契約前に画面で見るのが安全です
人が仕上げる文字起こしは別料金で、1分あたり2.00ドルからです。[1] 単純計算で1時間なら120ドルです。これはAIの文字起こしとは別の、人手の作業です。
ボットが入る方式と、ボットなしの録音
会議に参加させるノートテイカーは、カレンダーのGoogleかOutlookとつなぐと、予定の会議に自動で入ります。Zoom、Google Meet、Teamsに対応しています。[2][4] 参加者の一覧に、記録用の参加者が加わる形です。
ボットなしの録音については、公式の説明に食い違いがあります。
- トップページの説明には、MacやスマートフォンからZoom、Meet、Teamsの通話を、ボットを入れずに録音できると書かれています[2]
- 同じページのFAQと、料金表では、パソコン用のアプリは「coming soon」「Soon」、つまりまだ使えない扱いです[1][2]
- すでに使えると書かれているのは、スマートフォンのアプリです。対面の会議や講義を、オフラインでも録音できます[2]
読み取れる範囲では、いまボットなしで録れるのはスマートフォンでの録音、つまり同じ部屋にいる会議が中心です。パソコンの通話をボットなしで録る機能は、公開されたかどうかを自分で確かめる必要があります。この系統の道具の使い分けは、AI議事録ツール5選の比較でも触れています。
録音するときの注意も、公式のポリシーに書かれています。ノートテイカーを使う人は、会議の参加者に録音することを知らせ、断る機会を与える必要がある、という趣旨です。会議の声、顔、画面の内容が記録の対象になるためです。[6] 例文は録音アナウンスの例文にあります。
データの扱い。置き場所はEU、学習は自分で選ぶ
録音には、社内の話が入ります。ここは、使う前に読んでおきたい部分です。
セキュリティのページでは、次の点が説明されています。[5]
- データセンターはEU域内にある。構成はAWSとHerokuの上にある
- 通信はTLSで、保存時はAES-256で暗号化している
- SOC 2 Type 2の認証を受けている。GDPRにも対応している
トップページにも、SOC 2 Type II、GDPR、EUのデータ保管場所(EU data residency)が並んでいます。[2] 日本国内にデータを置く選択肢は、確認したページにありませんでした。
AIの学習への使い方は、ヘルプとポリシーの両方で確認できます。
- 学習への利用はオプトイン(自分から同意した場合だけ)で、どのワークスペースも初期状態では同意していない。同意するかどうかは、ワークスペースの管理者が設定する[7]
- 同意した場合は、個人を特定できない形にしたうえで、モデルの学習や改善に使う。AIの提供元には、内容での学習を禁じている[7]
- ポリシーには、同意した内容を、個人が特定できない形にしたうえで、パートナーなど第三者と共有することもある、という趣旨の記述がある[6]
- 同意は、設定から取り下げられる。ただし、すでに個人が特定できない形にされた内容は、元に戻せない[6][7]
ポリシーでは、同意を登録時に別の項目として確認する、とも読めます。[6] 登録の画面で、どちらを選んだかを覚えておくと安心です。
削除については、アカウントから消したファイルは、念のため10日間残ってから完全に消える、と書かれています。[6] 一方、会議の記録そのものの保管期間については、トップページに「Retention you control」(保管を自分で決められる)という表記があり、Enterpriseの画面例には「Content retention policies 90 days」も出てきます。[2] ただし、どのプランで何日に設定できるのかは確認していません。AIの要約や質問のために、OpenAIやAnthropicなどの外部のAIにデータを渡す場合があることも、ポリシーに書かれています。渡した先では学習に使われない、という説明つきです。[6]
保存期間の決め方はAI議事録の保存期間の決め方に、確認項目はセキュリティチェックリストにまとめています。
良い点
ここが強い
- 日本語が、ノートテイカー、文字起こし、字幕のすべてで対応言語に入っている[3]
- 会議の録音は回数無制限で、無料から使える(1回45分まで)[1]
- 会議の自動記録と、ファイルの文字起こしを、同じ画面で扱える[2]
- 言語の自動判定と、日本語での要約やメール配信が案内されている[4]
- SOC 2 Type 2とGDPRに対応し、データはEUに置かれる。学習への利用は同意した場合だけ[2][5][7]
- 料金の分数が足りなくなっても、1分0.20ドルで追加できる[1]
- 人が仕上げる日本語の文字起こしを、別料金で頼める[3]
確認したい点
ここは確認を
- アップロードしたファイルのAI文字起こしは、無料だと10分のお試しだけ。Basicでも月120分[1]
- 日本語に限った精度の数字は、日本語向けのページの「95%を超える」だけ。ほかの約90%、最大約95%、最大約98%は言語を限定しない数字。第三者が測った数字は確認できなかった[2][3][4]
- 日本語と英語が混ざる会議の精度を示す数字は、確認したページにない
- パソコンの通話をボットなしで録る機能は、「coming soon」の表記と、使えるかのような表記が混在している[1][2]
- 無料プランの書き出しは、比較表ではTXTとSRT。DOCXの扱いはページで食い違う[1]
- 料金はドル建て。日本円での請求や、日本向けの請求書の形式は確認していない
- データの置き場所はEU。日本国内に置く選択肢は確認できなかった[2][5]
- ノートテイカーは会議の声、顔、画面の内容を記録する。参加者への事前の周知が必要[6]
- AI学習に同意した場合、個人が特定できない形にした内容が、パートナーなどと共有されることがある[6]
向いている人
- 会議の自動記録も、録音ファイルの文字起こしも、一つのサービスで済ませたい人
- 日本語のほかに、英語など複数の言語で会議や取材をする機会がある人
- データの置き場所や認証を重く見る、EUの基準に近い管理を求める人
- 取材やインタビューなど、あとから人の手による仕上げに切り替えたくなる場面がある人
反対に、録音ファイルを毎月何十時間も文字にしたい人は、分数の上限で足りなくなりやすい料金です。その場合は、有料プランに使う時間の上限がないTurboScribeのような道具も候補になります。国産で日本語の読みやすさを重視するならRimo Voice、多言語の会議ならNottaも比べられます。
試すなら、会議の記録を1本と、10分のファイルを1本
無料の範囲でも、二つの入口は別々に確かめられます。次の順番で進められます。
- 録音の前に、参加者へ録音することを伝える。例文は録音アナウンスの例文にある
- 登録の画面で、AI学習への同意の選択があれば確認し、「同意しない」を選んでおく
- 社内の定例会議のような、実際の会議で、ノートテイカーを1回入れる。無料の1回45分に収まる会議を選ぶ
- 日本語で話した部分の文字起こしと、要約を見る。金額、日付、社名、人名が正しいか確認する
- 話者のラベルが、実際の発言者と合っているかを見る。ずれていたら、話者名がずれたときの直し方が使える
- 別に、取引先名や社外秘の数字が入っていない10分の録音を、アップロードして文字にする。無料の10分のお試しが、ここで終わる
- TXTで書き出し、いつも使う議事録の形に貼れるかを見る
- 終わったら、記録と音声をアカウントから削除し、10日後に完全に消えることを覚えておく
観点をトライアル評価シートに合わせて記録しておくと、ほかのツールと並べやすくなります。
分かれ目は、会議の記録を中心に使うのか、ファイルの文字起こしを中心に使うのかです。前者なら無料でも様子が見えます。後者なら、最初に自分の月間の録音時間を数えてから、プランの分数と見比べてください。
Sources
[1] https://www.happyscribe.com/pricing — Pricing and Rates | HappyScribe(2026-10-24 確認) [2] https://www.happyscribe.com/ — AI Transcription & Notetaker in 150+ Languages | HappyScribe(2026-10-24 確認) [3] https://www.happyscribe.com/languages — HappyScribe Supported Languages: 150+ for Transcription(2026-10-24 確認) [4] https://www.happyscribe.com/ai-meeting-notetaker/japanese — 議事録AI|日本語の会議を自動で文字起こし・要約(HappyScribe、2026-10-24 確認) [5] https://www.happyscribe.com/security — Security and Data Protection | HappyScribe(2026-10-24 確認) [6] https://www.happyscribe.com/privacy — Privacy Policy | HappyScribe(施行日2026-06-08、2026-10-24 確認) [7] https://help.happyscribe.com/en/articles/11364876-how-your-data-is-used-to-improve-model-performance — Data Usage: how AI model training works(HappyScribeヘルプ、2026-10-24 確認)