MacWhisperレビュー:Macの中で文字起こしが終わる買い切りアプリは、日本語の会議録音に使えるか
目次
月額のAI議事録の多くは、録音をクラウドに送って文字起こしします。MacWhisperは、その処理をMacの中で済ませるアプリです。公式サイトは、Whisper、Parakeetなどのモデルを使い、音声や動画、会議の音声をMacの中で文字起こしすると説明しています。[1][2] 会議にボットを入れず、料金は月額ではなく、一度払えば使い続けられる買い切りです。[1][2]
本記事は、2026年10月10日に確認した公式サイト、販売ページ、ヘルプ、プライバシーポリシーに基づきます。価格や機能は変わるので、購入の前に本文の公式リンクで最新の表示を確かめてください。日本語の会議を録音して精度を測った記事ではありません。日本語の文字起こしの出来は、ここでは判断していません。
無料版でできることと、Proで増えること
公式サイトの料金表は、無料版とProの二列です。[1]
- 無料版(€0): Macのマイクからの録音、mp3・wav・m4a・ogg・opus・mov・mp4の読み込み、100言語の文字起こし、字幕(.srt/.vtt)の書き出し、.txtの書き出し、システム全体で使える音声入力、ZoomやTeamsなどの会議の録音
- Pro(€64、買い切り): 無料版の内容に加えて、.md・.pdf・.html・.docxなどの書き出し、自動の話者認識、YouTubeやメディアのURLの文字起こし、複数ファイルの一括処理、翻訳、高品質モデルでの音声入力、会議の開始と終了の自動検出、AIサービスの接続、監視フォルダ、他サービスへの自動送信
Proの欄は、1ライセンスにつき€64で、更新は生涯分を含むという表示です。[1] 販売ページは、サブスクなしで、文字起こしの回数は無制限、現在と将来のすべての更新を使えると説明しています。[2] 価格の表示は、場所によって揺れます。公式サイトは€64でしたが、販売ページ(Gumroad)のオプション一覧では1ライセンスが65ユーロ相当の表示でした。[2] 購入の画面で、税込みの金額を確かめてください。
会議の録音は、料金表では無料版の欄にも入っています。Proの欄では、これに会議の開始と終了の自動検出が加わる書き方です。[1] 販売ページでも、Zoom、Teams、Webexなどの会議の自動録音は、Proの手前の基本機能の一覧に載っています。[2] 無料版でどこまで自動で動くかは、表の表記だけでは細かく分からないので、実際の画面で確かめてください。
日本語は対応言語の一覧に入っています
販売ページの100言語の一覧には、Japaneseが入っています。[2] ボットなしの他のツールでは、対応言語から日本語が外れているものもありました。たとえばSupernormalのレビューで確認したデスクトップアプリがそうです。MacWhisperは、その点は一覧の上では問題ありません。
ただし、一覧に入っていることと、仕事の会議で使える精度が出ることは別です。販売ページは、速さについて最大で実時間の約30倍、ProのParakeetモデルは最大で300倍と書いています。[2] これは販売元の説明で、日本語の会議でどれだけ正確かを示す数字ではありません。固有名詞や専門用語が多い会議ほど、自分の音声で試す必要があります。誤変換の直し方は、AI議事録の固有名詞を辞書登録で直すにまとめています。
動かす環境の条件は、販売ページに載っています。対応OSはSonoma、Sequoia、Tahoe(macOS 14.0以降)で、おすすめの機材はMシリーズのMacです。MediumやLargeのモデルを快適に使うには、メモリが8GBより多いMacを勧めています。[2] Windowsの記載はなく、Macだけで使うアプリと考えてください。
会議の自動録音は、ベータ版の機能です
ヘルプの記事によると、設定の「Record Meetings」で「Automatic Meeting Notifications」を入れると、会議の開始を検出して録音を促します。[3] 検出できるのは、Arc Browser、Brave、Chime、Chrome、Discord、Edge、Firefox、Safari、Skype、Slack、Teams、Telegram、WhatsApp、Zoom、Webexです。FaceTimeは、macOSのプライバシー制限により使えません。[3]
使い方は次のとおりです。[3]
- 「Meeting Detected」の通知が出たら、「Record」を押す(通知は何もしないと10秒で消える)
- 録音が始まる。画面の右下か「Meeting Ended」の通知から止める
- 履歴に出てきた録音を選ぶと、文字起こしが始まる
自動検出を使わなくても、メニューから「Start Recording」で手動で録音できます。録音はMacWhisperの中に保存され、「Recordings」のタブから開けます。[3] 動かすには、画面収録とマイクの許可が必要です。[3]
気をつけたい点は、ヘルプが自分で書いています。この機能はベータ版で、まれな不具合やデータの消失が起こる可能性がある、大事な会議は手動の録音を勧める、という注意書きです。[3] さらに、自動検出の通知は、Mac App Storeで売られているWhisper Transcription版には付きません。[3] 無料のお試しから会議録音に進むなら、公式サイトのGumroad版を入れる必要があります。
話者の分け方は、情報が二つあります。ヘルプは、会議の参加者は今のところ一人の話者としてまとめて記録され、話者認識が出たら分けると書いています。[3] 一方、販売ページのProの機能一覧には、リアルタイムの会議の文字起こしと話者認識(対応するWhisperKitとParakeetのモデルのみ)が載っています。[2] どちらの条件が自分の会議に当たるかは、記事からは分かりません。参加者が複数いる会議で、話者が分かれるかを試してください。
AIの要約は、自分のAIサービスをつなぐ形です
公式サイトは、文字起こしを「要約」「チャット」「カスタムプロンプト」で扱えると紹介しています。[1] ただ、料金表の中身を読むと、その実体は「自分のAPIキーでAIサービスにつなぐ」機能です。対応先は、OpenAI、Anthropic、Groq、xAI、Azure、Deepseek、Google、OpenRouterで、OllamaとLM Studioを使えばローカルのAIモデルも選べます。[1]
つまり、要約までを含めた「会議が終わったら要約が届く」型のツールとは、作りが違います。文字起こしはアプリが担い、要約は自分でAIを選んで任せる、という分担です。要約の置き場や、決定事項を後から確かめる流れは、AI議事録の決定事項を会議後10分で確認する方法が参考になります。
Proには、完成した文字起こしを他のサービスへ送る連携もあります。Zapier、Make.com、n8n、自分のWebhook、ローカルのObsidianが対象です。[5] Webhookでは、タイトルと本文のテキストをJSONで送ります。[5] 「文字起こしが終わったら自動で送る」スイッチは、設定の連携の最上部にあります。[5] Obsidianにつなぐには、Obsidian側のLocal REST APIプラグインが必要です。[5] 連携の認証情報は、macOSのキーチェーンに保存されます。[5]
データが、いつ端末の外に出るか
プライバシーポリシーは、MacWhisperの機能はすべて端末の中で動き、音声もテキストも端末から出ない、と書いています。分析用には、ライセンスが有効かを確かめるための匿名のイベントを送ることがある、とも書いています。ポリシーの最終更新は2024年2月14日です。[4] 販売ページも、文字起こしは端末の中で行い、データはMacから出ないと説明しています。[2]
ここで見落としたくないのは、設定しだいで、データが外に出ることです。
- クラウドの文字起こし: Proの機能として、OpenAI、ElevenLabs、Deepgram、Groq、Gladia、自分のWhisperサーバーを使うと販売ページに書かれています。[2] これを選ぶと、音声が相手のサービスに渡ります
- クラウドのAIで要約する: APIキーでOpenAIなどにつなぐと、文字起こしのテキストが相手に渡ります。[1]
- 自動送信の連携: Zapierなどに送る設定にすると、テキストがそちらへ出ます。[5]
「ローカルで完結する」のは、文字起こしを端末のモデルで行い、AIも連携もローカルのものだけを選んだときです。社内の機密を扱う会議に使うなら、この三つを設定画面で確かめてから録音してください。保存期間と削除のルールは、AI議事録の保存期間をどう決めるかの考え方がそのまま使えます。録音ファイルがMacの中に残るぶん、削除は自分で管理することになります。
ボットなしは、録音を伝える責任も自分で持つということ
公式サイトは、会議にボットは入らないと明記しています。[1] 会議の相手には、録音が行われている目印が何も出ません。冒頭の一言や、事前のメールで伝える運用は、使う側が決めておく必要があります。例文は、AI議事録の録音アナウンス例文が使えます。
良い点
ここが強い
- 文字起こしをMacの中で行い、データが端末から出ない設計[2][4]
- 日本語が100言語の一覧に入っている[2]
- 月額ではなく、買い切りで更新も生涯分を含む[1][2]
- ZoomやTeamsなどの会議を検出して、ボットなしで録音できる[1][3]
- 録音ファイル、動画、YouTubeのURLなど、会議以外の文字起こしにも使える[1]
- 無料版があり、購入後7日以内なら、不満を伝えて返金を求められる[2]
確認したい点
ここは確認を
- 会議の自動録音は、ヘルプがベータ版と明記している。無料版とProで動きがどう違うかは画面で要確認[1][3]
- 自動検出の通知は、App Store版(Whisper Transcription)に付かない[3]
- 会議の参加者が一人の話者にまとまるという記述があり、話者の分かれ方は要確認[2][3]
- 要約は自分のAIサービスをつなぐ形で、クラウドを選ぶとデータが外に出る[1]
- 対応OSがmacOSで、Windowsの記載がない[2]
- 日本語の精度は、この記事では測っていない
向いている人
- 会議の録音と文字起こしを、手元のMacだけで済ませたい人
- 月額のAI議事録を増やしたくなく、買い切りで使いたい人
- インタビューや講義、動画の字幕など、会議以外の音声も文字にしたい人
逆に、会議が終わったらチームに要約が自動で共有される形を求める人には、あまり向きません。ボットなしで日本語を扱う他の選択肢には、ブラウザの字幕から取るTactiqや、手元録音のJamieがあります。全体の見比べは、AI議事録ツール5選の比較で確認できます。
試すなら、無料版で5分の日本語を1本
まずは無料版で、文字起こしの出来を確かめるのがよさそうです。
- 公式サイトのリンクから、無料版(Gumroad版)を入れる
- 自分の声で、5分ほどの日本語の会話を、ボイスメモなどで録る
- その音声ファイルをアプリに読み込み、言語を日本語にして文字起こしする
- 金額、日付、社名、人名が正しく残っているかを見る
- 短い会議で録音を試し、話者の分かれ方や自動検出が必要ならProを買う。購入後7日以内なら返金を相談できる[2]
- クラウドの文字起こしやAI、自動送信の連携が、オフになっているかを設定で見る
観点はAI議事録ツールのトライアル評価シートに合わせると、他のツールと並べやすくなります。
MacWhisperの選び方は、「データを端末の外に出したくないか」と「会議の録音と要約のどこまでを自分で組むか」の二つでほぼ決まります。この二つに頷けるなら、買い切りの価格はよく釣り合っています。
Sources
[1] https://www.macwhisper.com/ — MacWhisper [2] https://goodsnooze.gumroad.com/l/macwhisper — MacWhisper - Jordi Bruin - Gumroad [3] https://docs.macwhisper.com/article/30-record-meetings — Automatic Meetings Recordings with MacWhisper [4] https://www.macwhisper.com/legal/privacy-policy — Privacy policy - MacWhisper [5] https://docs.macwhisper.com/article/53-integrating-macwhisper-with-other-services — Integrating MacWhisper with other services