DeepL Voice for Meetingsレビュー:日英の会議を字幕で訳せるが、議事録はtxtを手元に残す仕組み
目次
DeepL Voice for Meetingsの公式ページには「文字起こしデータや翻訳データの永続的な保存はいたしません」と書かれています。[2] 一方で、同じ公式のヘルプには、会議の文字起こしをtxtでダウンロードできるとも書かれています。[6] 矛盾しているようですが、どちらも本当です。サーバーには残さず、会議に参加した人の手元の端末にだけ残す作りになっているからです。
DeepL Voice for Meetingsは、Microsoft Teams、Zoom、Google Meetの会議にDeepLのボットを入れ、話された言葉をリアルタイムで字幕に訳すサービスです。ふつうのAI議事録ツールのように、要約や決定事項を自動で書き出すことが目的の製品ではありません。ここでは、日本語と英語が混ざる会議の記録として使えるかを、2026年10月18日に確認した公式の料金ページ、製品ページ、ヘルプセンターの記述で整理します。日本語の会議で精度を測った記事ではありません。料金や上限は変わるため、契約の前に本文の公式リンクで最新の表示を確かめてください。
会議には「DeepLのボット」が入ります
使い方は、ヘルプによると次の流れです。[3][4]
- DeepLのウェブアプリかデスクトップアプリで、会議の招待URLを貼り付ける
- DeepLのボットが会議に参加する。主催者側が入室を許可する
- ボットが、字幕を見るためのリンクを会議のチャットに送る
- 参加者はリンクから、自分の読みたい言語を選んで字幕を見る
字幕を見るだけなら、参加者はDeepLのアカウントも契約もいりません。[4] 公式のよくある質問でも、字幕と対面の会話では、翻訳を始める人だけが有料の席(シート)を持てばよいと説明されています。[1]
ボットが入るため、条件が二つあります。会議に社外の参加者を入れられる設定になっていることと、チャットが使えることです。[3][4] 会社によっては、社外ユーザーの参加を止めている場合があります。導入前に、情報システムの担当者へ確認してください。
対応する会議は、Teamsが即時開催と予定した会議、Zoomが通常のミーティング、Google Meetが即時開催と予定した会議です。[4] ブレイクアウトルームでは翻訳できません。[3] ボットが見えるぶん、参加者には使っていることが伝わります。録音や文字起こしを伝える言い方は、AI議事録の録音アナウンス例文が参考になります。
日本語は、話す側にも読む側にも入っています
話した言葉を文字にできる言語の一覧に、日本語はDeepLの自社モデルで処理する言語として載っています。英語、中国語(普通話)、韓国語、フランス語、ドイツ語など18言語が同じ扱いです。[5] 字幕として読む側の言語にも日本語が入っています。ヘルプの一覧は、英語(アメリカ)と英語(イギリス)のような地域別の表記を含めて48言語です(製品ページの書き方は「40以上」)。[5][2] 製品ページは、字幕を話された言語以外の言語にも訳せると説明しています。[2]
日本語を話す人と英語を話す人が一つの会議にいても、それぞれが自分の言語で話し、自分の言語で読む使い方ができます。[2] 音声から音声への翻訳(聞こえる声まで訳す機能)の対象にも日本語が入っていますが、使うにはデスクトップアプリと、対応するプランが必要です。[3][5]
精度については、公式が第三者の調査会社Slatorの比較を紹介しています。翻訳品質が100点中96.4点で、Teams、Meet、Zoomの字幕翻訳の87〜89点を上回った、という内容です。[2] DeepL側が選んで載せた数字で、対象は翻訳字幕です。固有名詞や金額を含む日本語の会議で、字幕がどれだけ正しいかは、自分の会議で確かめるしかありません。
料金は、使った分ではなく「席」と「分数」で決まります
料金ページには、会議向けのプランが二つ出ています。2026年10月18日の表示は、次のとおりです。[1]
- Voice Starter: 1ユーザー月12.00ユーロ(年払い、税込)。翻訳の分数は1人あたり月300分。無料トライアルは14日
- Voice Business: 1ユーザー月36.00ユーロ(年払い、税込)。翻訳の分数は1人あたり月600分で、チーム全体で分数を共有できる。管理者による文字起こしの保存期間とダウンロードの制御、SSOが付く
- 50人を超える大きな組織: 個別見積もり
月300分は5時間です。1時間の会議なら、月に5回ぶんになります。満額まで使い切った場合の分単価は、Starterが約0.04ユーロ、Businessが約0.06ユーロです。ただし、分数をどう数えるのか(会議に入っている時間か、話された時間か)は、確認したページには書かれていませんでした。週に何本の会議を訳すのかを決めてから、トライアルの14日間で、減り方を見てください。
字幕に参加できる人数は、Starterで50人まで、Businessで300人までです。[1] 料金ページを月払いに切り替えると、Starterは1ユーザー月14.00ユーロ、Businessは月42.00ユーロになります。[1] 日本円の表示は見当たりませんでした。
ひとつ紛らわしい点があります。DeepLの翻訳(Translator)の個人向けやTeam向けのプランの一覧には、「DeepL Voice 30分、ユーザー1名あたり毎月」と書かれています。[8] しかし、会議に接続するために必要なプランとして、ヘルプが挙げているのはVoice系のプランです。翻訳プランは載っていません。[3] 翻訳のプランに付く30分で会議を訳せるのかは、確認した範囲では読み取れませんでした。
議事録として残せるのは、txtだけです
肝心の記録の話です。公式のヘルプによると、会議の文字起こしをダウンロードできます。[6]
- 保存できるのは、txtファイル1つ
- 選べる内容は3通りで、「文字起こしと翻訳」「文字起こしだけ」「翻訳だけ」。元の言語のままの文字起こしには、言語コードが付く
- ダウンロードできるのは、ボットを招いた「翻訳マネージャー」の役割の人。管理者がこの機能を止めることもできる
- 途中から入ったり、途中で抜けたりすると、その間の発言は含まれない
確認した範囲のページに、要約やアクション項目を作る機能の説明はありませんでした。話者の名前がどう付くのかも書かれていません。したがって、DeepL Voiceで得られるのは、発言をそのまま並べた文章です。決定事項や宿題をまとめるには、人が読むか、別のツールに貼り付ける作業が要ります。会議後の確認は、AI議事録の決定事項を会議後10分で確認する方法にまとめた手順で進められます。
データはサーバーに残らず、期限つきで手元に残ります
データの扱いは、公式の説明がはっきりしています。
- 会議の文字起こしと翻訳は、DeepLが永続的には保存しない。直近のメッセージを通話が終わるまでメモリに置き、終了後に消す[3]
- 利用者が開いた文字起こしと翻訳は、その人の端末に保存される。最長30日で、管理者が期間を決められる[3]
- 保存期間の選択肢は、30日、2週間、1週間、1日、15分、保存せず直近5文・20秒だけを表示、の6段階。初期値は30日[7]
- 保存期間を短くすると、すでにある文字起こしは次に開いたときに完全に削除される。変更の前にダウンロードしておく必要がある[7]
- 顧客のデータで言語モデルを学習することはない[3]
会議ボットの部分は、外部のRecall.aiという会社のサービスで、EUのデータセンターで動き、データを保持しない契約になっています。[3] 文字起こしにSpeechmaticsが使われるのは、タイ語やヒンディー語など一部の言語です。日本語はDeepL自社のモデルで処理されます。[3][5]
保存期間は管理者の設定で、チームの人が会議ごとには変えられません。[7] 「サーバーに残らない」ことは強みですが、裏返すと、会議の記録を会社として長期に保管・検索する用途には向きません。保存や削除のルールは、AI議事録の保存期間をどう決めるかとあわせて決めておくと迷いません。
良い点
ここが強い
- 日本語を含む多くの言語で、話す側と読む側を選べる[2][5]
- Teams、Zoom、Google Meetのどれでも、同じ使い方で字幕が出る[4]
- 字幕を見るだけの参加者は、アカウントも契約もいらない[1][4]
- 文字起こしと翻訳をサーバーに残さず、学習にも使わない[3]
- 文字起こしをtxtで、原文だけ・訳文だけなど選んで保存できる[6]
確認したい点
ここは確認を
- DeepLのボットが会議に入る。社外の参加者を止めている会社では、設定の変更が要る[3][4]
- 要約や決定事項を自動で作る機能の説明が、確認したページに見当たらない
- 保存はtxt1つで、サーバーには残らない。途中参加・途中退出の間の発言は入らない[6]
- 分数の数え方が不明で、料金は席ごとの月額(年払い)。Starterは月300分まで[1]
- 日本語の会議での字幕の精度は、公式が紹介する比較(翻訳品質の数字)しかない[2]
- ブレイクアウトルームでは翻訳できない[3]
向いている人
- 日本語と英語が混ざる会議で、参加者それぞれの言語で字幕を読みたい人
- 議事録そのものより、会議中の理解を助ける字幕が目的のチーム
- 記録をサーバーに残したくなく、保存期間を管理者が決めたい会社
逆に、会議の要約や決定事項を自動でまとめたい人は、ほかの選択肢を先に見たほうがよさそうです。英語の会議の記録を自動でまとめるならOtter.ai、日本語の会議の文字起こしと要約ならRimo Voiceなどがあります。会議サービスの内蔵機能との違いは、会議ツール内蔵のAI議事録5選の比較で見られます。
試すなら、15分の会議を1本
14日の無料トライアルで、次の順に確かめてください。トライアルの前に、会議の参加者へ字幕のボットが入ることを伝えておきます。
- 社外ユーザーの参加とチャットが、会議サービスの設定で許可されているか確かめる
- 15分ほどの会議を1本つくり、日本語と英語の両方で話す
- ボットを入れて、字幕のリンクがチャットに届くか見る
- 金額、日付、社名、人名が、字幕に正しく残っているか見る
- txtをダウンロードして、途中で抜けた時間の発言が欠けていないか確認する
- 翻訳の分数が、会議の前後でどれだけ減ったかを見る
観点はAI議事録ツールのトライアル評価シートに合わせると、ほかのツールと並べやすくなります。
DeepL Voice for Meetingsは、議事録ツールというより、多言語の会議を字幕でつなぐ道具です。記録を残す目的があるなら、txtを手元に取る手順まで含めて、試してみてください。
Sources
[1] https://www.deepl.com/en/pro#voice-for-meetings — DeepL Pro / Voice plans and pricing | DeepL [2] https://www.deepl.com/ja/products/voice/deepl-voice-for-meetings — DeepL Voice for Online Meetings | DeepL [3] https://support.deepl.com/hc/en-us/articles/16810100955676-About-DeepL-Voice-for-Online-Meetings — About DeepL Voice for Online Meetings | DeepL Help Center [4] https://support.deepl.com/hc/en-us/articles/24208848966812-Connect-a-meeting — Connect a meeting | DeepL Help Center [5] https://support.deepl.com/hc/en-us/articles/26625846174364-DeepL-Voice-languages — DeepL Voice languages | DeepL Help Center [6] https://support.deepl.com/hc/en-us/articles/21187785911580-Download-meeting-transcript — Download meeting transcript | DeepL Help Center [7] https://support.deepl.com/hc/en-us/articles/25246758400284-Manage-transcript-and-translation-storage — Manage transcript and translation storage | DeepL Help Center [8] https://www.deepl.com/ja/pro — DeepL Pro | テキスト、Wordその他の文書ファイルをセキュアに翻訳